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炎環の俳句

2023年度 炎環四賞

第二十七回 炎環賞 受賞作

科学の子

小関 由佳

受賞のことば

受賞の知らせをいただいた夜、これで一生分の運を使い果たしたに違いないと怖くなりました。選んでくださった主宰をはじめ選考委員の皆様、本当にありがとうございました。

登戸研究所へ吟行に行ったのは初夏。平和な世なら人の助けになるべき科学者が、戦争によって変わっていった事実に愕然としました。同時に、戦後その実態を世に開示した勇気に胸を打たれました。受け取った者の一人として、また、きな臭い昨今に子を持つ親として、何か表現せねばという思いに突き動かされました。登戸研究所は私にとって運命的な句材だった気がします。

作句にあたっては、戦争という普遍的なテーマを扱う難しさも感じました。予定調和にならず情に流されず客観的な視点を保てるよう、吟行後何度か再訪し、裏を取るため資料にもあたりました。体を使って得た言葉は一定の重さを持つと実感したのも、今回の収穫かもしれません。

温かく時に厳しくご指導くださる寒太先生、この吟行の機会をくださった多摩句会の皆様、私のホームグラウンドであり一番好き勝手な句を出せる横浜句会の皆様にはお礼の言葉を尽くせません。本当にありがとうございました。これからも俳句の傍らでいろいろな体験をしたいです。