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俳句はじめてQ&A

俳句に興味があるけれど、どこからはじめて良いのかわからない……。そんな悩みを抱えているあなたへ、まずは俳句にまつわる基本用語について説明します。

俳句結社

音楽や絵などと同じように俳句も一人でも楽しむことができます。けれどやはり音楽などと同じように同好の士が集まればより楽しくもなり、お互いに切磋琢磨して上達もします。

俳句の世界にも仲間同士の集まりがあります。指導者を持たない集まりもありますが、多くは一人の指導者のもとに結集します。こういう集まりを「俳句結社」と言います。

結社の多くは独自の雑誌(俳誌)を発行して会員の発表の場としています。こうした結社は大小合わせると1000ほどあるといわれています。

句会

句会

各結社では定期的に「句会」を開きます。

句会は一つの結社でも場所と時を違えて複数回開かれます。炎環の場合は全国28カ所でそれぞれ月1回ほど開かれます。

俳句を作ると多くの場合句会に出して評価を受けます。句会のやり方は様々ですが、一般的な方法をご紹介しましょう。

【兼題】

句会の開かれる前には課題が出されることがあります。たとえば「ひばり」を題材にして作りましょうとか「色」という文字を句の中に織り込んで作りましょうなどと、あらかじめ宿題が出されることがあります。これを「兼題」と言います。

また句会に出席すると一番最初に会場に着いた人に題を出してもらうことがあります。これを「席題」といいます。ほかの人は会場に来て初めて題を知ることになります。

ほかには「嘱目吟」といって、句会場の周りを見回して目につくものを題材にして作ることもあります。

【出句】

句会場の入り口で短冊をもらいます。たとえば4句出しなら4枚の短冊が配られます。一定の制限時間の中で句を作って提出します。

【清記】

清記

係りは全員の短冊(無記名)を集めシャッフルします。これを清記係が専用の用紙に書き写します。句会によっては全員に短冊を分配し各自が自分のノートに書き写して、順繰りに短冊を回すこともあります。

【選句】

次に選句です。たとえば100句集まっていて5句選の場合、その中から自分が良いと思った句、あるいは好きな句を5つ選び、中でも特に良いと思った句を「特選」とします。

これらの5句を別に配られた選句用紙に書き写して署名をし、披講係へ渡します。句会によっては選句用紙を省略して各自が順番に発表することもあります。

【披講】

披講で自分の句を読み上げられたら何回でも名乗りを上げます。句会によってはこの段階では名乗らないと決めていることもあります。

【講評】

披講が終わると主宰者(指導者)が講評に入ります。炎環の句会では、別に司会者がいて主宰のほかに選をした人、あるいは選をしなかった人に任意に意見を求めています。この段階で議論が白熱して、多数の選が入ったのに反対意見の方が勢いが良かったりなどしてなかなかスリリングなこともあります。

句会によっては主宰の特選に選ばれたり互選で最高点に選ばれた人に、色紙やささやかなプレゼントが贈られたりすることもあります。

【二次会】

句会が終わると、有志で二次会へ移動し、句会で話題になった句が改めて酒の肴になったり、無点の人の愚痴を聞いたり、和気あいあいと句会の余韻を楽しむことになります。

吟行

吟行

俳句の作り方は人さまざまで、家に閉じこもって机に向かい詩集、歌集、句集、絵画、音楽などからヒントや刺激を受けて作る人もいますが、題材を求めて外に出る人がほとんどです。

このように日常から抜け出して、対象と触れ合い出会った事物から俳句を作ろうとすることを「吟行」といいます。一人で出かけるのも、カップルで出かけるのも、またグループで歩き回ってみるのもすべて吟行です。

吟行先は近所の公園でもいいし、電車に乗って遠くの山や海でもよく、同じ所へ何度も足を運ぶのも、見知らぬ土地を訪ねるのも構いません。吟行によって得られた句は形や動きが生き生きとした臨場感を持って迫ってくるものです。

季語と歳時記

季語

俳句には約束があります。十七文字の中に必ず「季語」を入れなければなりません(もちろん無季俳句という領域もありますがここでは触れません)。

日本は四季の豊かな国です。「季語」とは別にむずかしいことではなく季節と密接に結びついてその季節を表している言葉です。

「元旦」の日の出は特に「初日の出」と言います。「年賀状」が楽しみです。「お雑煮」を食べます。二月になると「梅」が咲き、やがて「桜」の季節になります。

「夏休み」には「帰省」し「泳ぎ」ます。秋は「紅葉」の美しい季節、庭には「小鳥」がやってきます。寒い冬の山は「山眠る」と美しく表現されます。そんな日は「柚子湯」に入って体を温めます。

こうした言葉がその時々の季節を感じさせてくれます。それがすべて季語です。一つの季語を耳にしたとき私たちの目の前に同じような映像が浮かびます。十七文字という短い詩形の中で何かを伝えようとするとき季語は大きな力となるのです。

歳時記

季語を季節別(春・夏・秋・冬に加え新年の5つの区分け)に掲載したものが「歳時記」です。歳時記は「歳事記」「季寄せ」とも言われます。一つの季節は多くの場合、「時候」「天文」「地理」「生活」「行事」「動物」「植物」の7つのジャンルに区分けされています。

日本大歳時記のようにぶ厚いものからケイタイ歳時記のように手軽なものまで様々あり、最近では電子手帳に含まれる歳時記も重宝されます。すくなくとも一冊は手元においておきたいものです。

俳句に必要な道具

俳句に必要なものは筆記用具とノート(俳句手帳)(人によってはスマートフォンなどに記録している人もいます)それと歳時記くらいのものでしょうか。

俳号

俳号はいわゆるペンネームです。高浜虚子は本名は高浜清ですが俳号ではつづまって「きょし」、正岡子規は常規→升(のぼる)ですが結核を病んで喀血し“血を吐くまで鳴く”と言われるホトトギスの異称から「子規」としています。芭蕉は俳号を宗房→桃青→芭蕉と変えています。

俳句をするからと言って本名とは別に俳号を持つことは必須ではありませんが、結社では主宰から俳号を賜ることはよくあります。


さあ、紙と鉛筆と歳時記を使って、あなただけの俳句を作ってみましょう!

炎環では、俳句に興味を持たれてまだ日の浅い方を対象に、新たに句会を開設しました。
ご参加を心よりお待ちいたしております。