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感謝の俳句で伝える
あなたらしい「ありがとう」のかたち

炎環誌(炎環の俳誌)で発表された感謝の俳句を解説付きでご紹介。
さまざまな感謝の俳句を通じて、あなたらしい「ありがとう」の伝え方を探してみませんか?

俳句の面白さをより一層感じることができる「面白い俳句」ページもあわせてご覧ください。

葉桜や母の砥石のへこみ癖

飛田園美
「炎環」7月号より

葉桜のイメージ

に感謝

「葉桜や」で始まるこの句。さて、どのような気持ちで葉桜を見ているでしょうか。この句で、「葉桜」と同時に注目しているのは、「母の砥石のへこみ癖」。母が刃物を研ぐと、その砥石は、いつも決まって同じようなへこみ方をする。もちろん、その「癖」をどうこう言うつもりではありません。その「癖」こそが、母そのものなのです。砥石に限らず、母の日常には、母だけの「癖」が至るところにある。その「癖」は、母が、家族のために、生活のために、長い間、毎日せっせと同じことをくり返してきた結果なのです。この句は、「葉桜」の若々しい力強さに、そんな癖のある、頼もしい、だからこそ美しい母を重ねているのでしょう。そして、いつまでもその癖のままでいて欲しいと、心から願っているのです。

解説

季語:葉桜

桜が人々から喜ばれて最も輝くのは、いうまでもなく花が開いて散るまでの期間。そして花の散ったあと、桜は木いっぱいに健康的な若葉を茂らせますが、その桜を見て、花への陶酔を懐かしんではそれが終わってしまったことを惜しむ人もいれば、花とは打って変わってこれから真夏へと向かう力強い木の姿を賞する人もいます。この桜の木が葉桜。初夏の季語。葉桜は、見る人の状況や、性格や、生き方によって、その感じ方が後ろ向きだったり前向きだったり異なるかもしれません。ただいずれにしても、この木があの華麗な花を爛漫と咲かせた桜であるという記憶からは決して離れられない、それが葉桜の特徴です。

滝しぶき浴びて吟行ひと休み

鈴木経彦
「炎環」7月号より

滝のイメージ

句友に感謝

滝壺近くの岩場に腰かけ、「滝しぶき」も「浴び」ながらちょっと「ひと休み」。きょうはここへ「吟行」にやって来ました。吟行とは、俳句の仲間どうしが数人連れ立って、俳句作りを目的に旅行や散策に出かけることです。みんなでいっしょに歩きながらも、各自が、行く先々で目についた俳句になりそうなネタを、手帳にこそこそとメモします。吟行のあとには句会を開いて、吟行中にそれぞれが作った俳句を出し合い、その出来不出来を評し合います。このような吟行が楽しいのも、俳句をともに学び合う句友たちがいるおかげ。自然の恵みである「滝しぶき」に、句友たちへの感謝の気持ちを込めました。

季語解説

季語:滝、滝しぶき

「滝は、季節に関係なく落ち続けますが(中には、冬になると涸れたり凍ったりしてしまう滝もありますけれども)、俳句で「滝」は夏の季語。滝が詠まれていれば、それは夏の俳句です。なぜ、滝が夏なのか。それは、日本に暮らす私たちが、とくに夏において、滝のもつ「涼感」を尊ぶからです。山中の渓谷に勢いよく落ちる豪快な滝はもちろんですが、庭園などに人工的に造られた「作り滝」も、「涼」という点で、夏の季語の対象になります。暑いばかりが夏ではない、暮らしの中でいかに「涼」を求めるか、そこに注目することが夏の俳句の重要なポイントの一つです。

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