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炎環の俳句

ピックアップ同人句 同人とは?

2021年12月

遠景

藤田 良

  • 徐々に徐々に狭くなる径葛の花
  • 遠景に学校稲架の組まれけり
  • 雨細くなりし坂道樗の実
  • 貯水池の底へ階泡立草
  • 柿の実の熟るる電動工務店

消失点

山高 真木子

  • まんじゆさげ空の境界さわがしき
  • ラヂオより虚言流れてくる月夜
  • 道へ足投げだし郁子の実のたわわ
  • やはらかに金木犀の零す闇
  • フレームの外にあんたのゐる花野

晩秋

丸田 光洋

  • カミユふとうつむくコスモスの吐息
  • 半島の稲架低ければ悲歌を継ぐ
  • 大脳の青が一面下り鮎
  • 晩秋のわけても爽涼なる朝
  • 濃筆の秋思の青に迷ひあり

真犯人

鈴木 健司

  • 野分来る修繕中の時計台
  • コスモスへ真犯人を告げてゆく
  • 十月の転がつてゐる植木鉢
  • ゆつくりと葡萄の房を振つてみる
  • 栗一つ最後に残す栗ご飯

秋燕忌

山内 奈保美

  • 首里城の地下の指令部星月夜
  • 残骸へ朝日あまねし秋出水
  • 山頂の耳の名二つ霧流る
  • 宵闇や不忍池の弁財天
  • 秋燕忌スマホの調ぶ季題かな

チェイサー

渡邉 隆

  • 鶏頭を見て来しよりの老婆心
  • いぼむしり野党馴れしてゐる野党
  • 自転車のサドルの上の秋の蝶
  • ストーカー捕へてみれば穴惑ひ
  • チェイサーに檸檬一滴水の秋


同人とは?

炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。

このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら