ピックアップ同人句 同人とは?
2019年12月
青北風
大畠 響
- 青北風や窓あけて読む文庫本
- 黒葡萄いつか忘るる人ありし
- 梨好きの梨の半分残しけり
- エコバッグをひつくり返し青蜜柑
- 山寺の色なき風に吹かれをり
冥王星
山高 真木子
- 指先に脈拍真夜の曼珠沙華
- 哲学のふり無花果の外にゐて
- 此処よりの我コスモスと共振す
- 新涼や側転の子の回す空
- 雑踏に犬の眼のある無月かな
「双子の星」
常盤 優
- 「双子の星」さがす色なき風の中
- あさがほの種の玄玄暮るるかな
- つくつくし病者のねむる午後三時
- 二百二十日空気押し出すごみ袋
- なきむしのふたりどんぐりの階段
月見豆
中島 登美子
- 答案のマークシートや小鳥来る
- 父と子の黙の間合ひや月見豆
- 言葉遣ひまるく正され蓮の実
- 台風の目玉飛び出しこゑ高し
- 台風の斜交ひ雨戸父遥か
餌
鈴木 陽子
- 釣り餌の自動販売機へ夜霧
- 木犀の香や衝立は目の高さ
- 朝寒の鼈甲飴に傷あまた
- 体育の日よもやしにて嵩を増し
- 冬隣鉱石の店並ぶ街
秋薔薇
香西 さらら
- パラフィンの中のとまとや台風圏
- 夕野分小田急多摩線車輛基地
- デトックススープの野菜秋うらら
- ここよりの一号病棟秋澄めり
- ひとひらのすきとほりたる秋薔薇
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)