ピックアップ同人句 同人とは?
2020年1月
冬紅葉
折島 光江
- パエリアのきれいな焦げ目秋闌ける
- どんぐりを三つ数へる傘の先
- 枯きざす街や漱石たどる径
- 冬あたたか小松左京のこまかき字
- 占ひを信ずる男冬紅葉
おかはり
石井 浩美
- おかはりのミネストローネ鶫来る
- 哲学の森をぬけ来し烏瓜
- 蛇穴に入る片ほとり母眠る
- 秋惜しむ渡り廊下の空にあり
- 冬はじめ猫を抱けば香ばしき
新豆腐
原 紀子
- 新豆腐片耳で愚痴聞いてをり
- 区役所へ届く箱弁石蕗の花
- 冬暖か老人多き昼のバス
- 庭石に残るぬくもり帰り花
- しぐるると短きメール届きけり
みちのく
福山 みかん
- 母捌く鮭よみちのく鼻曲り
- 七かまど五輪峠の賢治の歩
- かりがねや合同墓碑の塔の先
- 秋うらら猫逆らはず従はず
- 目いつぱい添ひし歳月返り花
さび
高木 岳
- 紅十色の乱菊ボレロ続きをり
- 曲尺の目盛の錆や秋深し
- 露時雨天幕たたむ重さかな
- 立山の連峰浮かぶ冬の能登
- 寒林や通行止めの札越えし
薄紅葉
いなだ伊佐木
- 枝豆の移動販売あをき味
- かたくなな少年の父くわりんの実
- 結界の御祓柱薄紅葉
- 径ひとつ違へし広場銀杏の実
- 靴底の張り替へ二度目紅葉山
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)