ピックアップ同人句 同人とは?
2019年8月
啓明抄(二四五)
齋藤 朝比古
- ほたるいか恥かしさうな足持てり
- ひと筋の線を背中に天道虫
- 五月来る海の真白き航海図
- 連弾の腕交はれり緑の夜
- 兄弟の同じ色なる日焼かな
藤田良
曽根 新五郎
- 夢に泣く青水無月の瞳かな
- 行く夏の夢みし良の瞳かな
- 時の日の時の過ぎゆく無人島
- 万緑のまつただ中の呼吸かな
- 夢をみるための眠りの明易し
すててこ
大鋸 颯人
- 夏木立褪せし名札の障りけり
- 冷し汁改築多し角館
- 暑き日やなほ締むるべしリネンタイ
- 梅雨空をつんざく船の太き笛
- すててこや先人の知恵果てしなく
新緑
鹿島 釣人
- 悪しき日のつづく一日や新茶呑む
- 新緑に赤き実ちらり島岬
- 半島の白き燈台花楝
- 卯の花の匂ふ路地裏猫二匹
- 見送りの港にひとり青嵐
点点点
南 風子
- 白南風や神事の牛の赤き紐
- 颯然と山城のありつばくらめ
- 直幹の杉の芽吹きや奥会津
- 青山の山藤ポケットチーフの点点点
- 白南風や地蔵の膝の一円貨
再生(Ⅲ)
山本 計
- 光琳忌回復期ゴールが近い
- 慢性期扇風機みな首を振る
- 水槽に心臓いくつ日の盛
- 夏痩せて線と線とを繋ぎけり
- 壁のむかう夏の鯨のおよぐ水
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)