ピックアップ同人句 同人とは?
2025年12月
隙間
岡田 由季
- 高校生どつと降りたる枯野原
- 手で波をときどき送り柚子湯かな
- 顔映る隙間の生まれおでん鍋
- 梟の声や旅館の迷路めく
- びゆんと発つ電動自転車年用意
星辰
山崎 彩
- 二十八本の歯褒めし医師雁渡し
- 朱筆入れ立ちし一句やつくつくし
- 伎芸天いちじくひとつ甘かりし
- モナリザの口角真似し星月夜
- 一生は長し短き霧襖
秋ともし
道坂 春雄
- 漱石の学舎の写真秋ともし
- 学童の列のみだれや柿落葉
- 還郷のをごじよのたより鳳仙花
- ダイヤ婚やしばしの幕間秋の虹
- 古利根の真赭の薄暮れのどか
国勢調査
佐村 晶
- 読み終へし人の一生夜半の月
- 抜かずおく小草の中の赤まんま
- 国勢調査の青き封筒小鳥来る
- 竹林を通る人声秋の声
- 木の実落つ人恋しくて本開く
本願寺
髙木 岳
- 水やりの隅の小鉢や今朝の秋
- 湯上がりの渇きの相手石叩
- ファインダーの蓮華升麻や律の風
- 初産の予定日上る小望月
- 爽やかに保存修理の本願寺
カルヴァトス
永田 寿美香
- ハルウララの蹄の裏や菊の夜
- 雁や一煙の無き登り窯
- 蟋蟀の啼き初む夜のカルヴァトス
- 馬追や曾良終焉の島の先
- 鎮能果てて色なき風渡り
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)