ピックアップ同人句 同人とは?
2025年11月
磁石の先
藤田 良
- 行く夏や磁石の先の剱岳
- 影ひとつ無き校庭や夏薊
- 八月や雑穀むすびほの赤し
- 行き合ひの空や砲弾眠る海
- 半熟の殻剝く二百十日かな
ぶらぶら
山岸 由佳
- 白靴をぶらぶらさせてゐる夕日
- 花芙蓉軍手の少しづつ滲む
- キャッチボール時々秋の蝶飛んで
- 雲と雲つながり虫のこゑの墓
- 秋蟬の谷間を謝りにゆくよ
てのひら
倉持 梨恵
- 空耳の猫の鳴き声夏の月
- 地図に無き道の高低夏の雲
- 一本の蜘蛛の糸より始まりぬ
- てのひらに落とす残暑の美容液
- 威勢よき声に任せて秋刀魚買ふ
夕蜩
福山 みかん
- 怒り肩の丸くまあるく桃剝けり
- 朝顔の藍のあふるる空家かな
- 夕蜩駅の一樹に夫待てり
- スニーカーの外反母趾よ笑栗よ
- 可哀想な花の名へくそかづらかな
余生
永野 宙
- 余生とは力抜くこと水澄めり
- 光りつつひくき低きへ秋の蝶
- 爽やかな影といふものありにけり
- 余生まだ燃やしきれぬよ秋刀魚焼く
- その先は天に届かむ蕎麦の花
秋刀魚
元川 よしひろ
- しづけさの公民館の大暑かな
- 連れ立ちて朝の買物赤とんぼ
- 秋暑し改札口のギプスの子
- 居酒屋の秋刀魚のけむり電車音
- 渋滞の外環道路いなびかり
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)