ピックアップ同人句 同人とは?
2025年10月
ランウェイ
岸 ゆうこ
- 海月いま水に還つてゆくところ
- 真鰯の群れにもつむじまがりかな
- カップルに距離あり槽のミヅクラゲ
- なあんにも着けずプールに浮いてゐる
- ランウェイを歩くごと来る水着かな
銀漢
小嶋 芦舟
- 中陰の済みし挨拶雲の峰
- 境内に漏るる木魚や夏深し
- 果実酒の栓抜く夜や今日の秋
- 空港の発着ボード秋に入る
- 銀漢や大さん橋の潮の香
夏深し
武山 こゆき
- また一人減りし句会よ夏深し
- 晩年は気ままに生きよ青嵐
- 日に三回の洗濯たのし梅雨晴間
- 咲きみちて米こぼしたり花南天
- 雑草も干からびて死す炎天下
近視鏡
松橋 晴
- 凌霄花首にタオルをぶら下げて
- 百合の香をT V と思ふ金魚かな
- 目くばせし踊りの輪から外れけり
- 夜光虫ショスタコビッチの近視鏡
- 夏の果豚小間ばかり売れる日も
熱帯夜
石井 天子
- 先生の笑顔の写真熱帯夜
- 先生の言葉のひとつ熱帯夜
- 「熱帯夜忌」と名付け今年の集ひかな
- 先生を知らぬ予報士熱帯夜
- 平安の夏を思ひし猛暑かな
長崎の鐘(参拾参)
恩田 周子
- 炎天へ踏み出す一歩句会かな
- 辻褄の合はぬ夢なり熱帯夜
- 花芙蓉「長崎の鐘」歌ふなり
- 底紅やゆるりのたりの八十五
- 口論の少し疲れしラ・フランス
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)