ピックアップ同人句 同人とは?
2025年6月
啓明抄(參壹肆)
齋藤 朝比古
- 種袋やつぱり振つてしまひけり
- 三叉路に留まつてゐて卒業子
- 下手くそな巣箱へ鳥の集まれり
- 唐揚の山を崩して花の宴
- 伸ばしたきところありけり螢烏賊
やさしきことば
竹内 美穂
- 解せぬこと二つありけり三月尽
- 道失ふ白神山地木の芽風
- 節分会声変はりせし隣の子
- 春の風やさしきことば今いちど
- 喪の友と無言の握手針供養
ふたたび
鈴木 陽子
- 春休列車の座席まづ回し
- 雪柳ふはりふたたび偏頭痛
- 石橋に救命具あり春の園
- 花粉症軽くてどこか物足りず
- 冷房の温度を監視する淑女
朝ざくら
深山 きんぎょ
- 数式のつづく黒板朝ざくら
- 春愁や回転椅子の眠き猫
- 真昼間のキッチン浅蜊のひとりごと
- なつかしき風の匂ひや梨の花
- キッチンの俳句手帳や朧月
夕桜
西脇 あす香
- 霾や珈琲店のテラス席
- 百歳の長き葬列夕桜
- 花冷やモダンアートのモニュメント
- 校訓の石碑に降りし桜蘂
- 春光や島を巡りし遊覧船
ラグーン
白夜 マリ
- 滝しぶきペールトーンの洞窟へ
- 夏の潮素足に触る人手の背
- 貝殻に乗れば海月の動きだす
- そりを曳く二頭の海豚夏の夕
- 六月のラグーン蛸の持つ錨
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)