ホーム
炎環の俳句

ピックアップ同人句 同人とは?

2022年9月

花暦の跡 六

保屋野 浩

  • とどこほる時間の速度熱帯夜
  • 自転車の貰はれてゆく花柘榴
  • パソコンの起ちあがり待ち遠き雷
  • きりもりの厳しき妻の夏帽子
  • 狭蠅なす参院選挙掲示板

ミファソラシ

真中 てるよ

  • 夏燕ひらり前方後円墳
  • 白南風や記念写真に牛の貌
  • 始業ベルてのひらを這ふ甲虫
  • ミファソラシ鍋の白玉浮いてきし
  • つゆ草のあをの一滴雨呼べり

記念誌原稿

神宮 安見子

  • 投函の記念誌原稿梅雨に入る
  • 母校のペナント梅雨の診察室
  • 母命日青水無月の朝日影
  • 青葉闇演奏会の鼓の音
  • 麦秋の芯よ前方後円墳

そのままに

水沢 水音

  • 善性寺を背に羽二重団子夏
  • 子規庵の糸瓜咲く今もそのまま
  • 夾竹桃淡いあはひのはなふたつ
  • うすごろも瞳に映るしらべかな
  • 蓮の風吹くやそろそろかへり道

青パパイヤ

保坂 螢

  • バナナマフィンたつた二人の親睦会
  • 青葉風犬弔ひへペダルこぐ
  • 臨書する背のゆるびし夕薄暑
  • 「ハジメマシテ」黒留袖のアロハシャツ
  • 青パパイヤ提げて渋谷の地下迷路

緋鯉

春野 温

  • 苦しげな挨拶映し夏の服
  • 短編に日傘ばかりが開かれし
  • 子離れや肺に水あり緋鯉なし
  • 血管を愛憎すぎてメロンかな
  • もてなしは香る身のみの熱帯夜


同人とは?

炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。

このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら