ピックアップ同人句 同人とは?
2017年5月
啓明抄(二一九)
齋藤 朝比古
- 朧夜のぶつからぬやう皿と匙
- 対岸に母を置去り春の月
- 姿見の裏のしづけさ春淺し
- 息入れて紙風船の軽さかな
- 卓袱台のすこし左の木の芽和
豊永裕美
曽根 新五郎
- 夜に向けて血の濃くなりし牡丹の芽
- 春の音の豊永裕美の総身かな
- 駆けるとき髪はたてがみ風光る
- 冴返るピエロの星の瞳かな
- 冴返る母の総身拭きにけり
手風琴
丑山 霞外
- 多摩川の赤き鉄橋鼓草
- 草の餅固き言葉をやはらかく
- やはらかき妻の言葉やクロッカス
- 春の雲スカイツリーと煙突と
- 春満月ラトビア人の手風琴
雛の日
飯沼 邦子
- 立春やガーゼふんはり畳み置く
- 点滴の音無く終る余寒かな
- 麻酔より覚めて雛の日なりけり
- 啓蟄や朝の回診遅れぎみ
- 面会の人の無き日や春の雲
残春
丸田 光洋
- 春寒く思春期てふ日暮れかな
- 病牀六尺春風は子規のもの
- 炭酸水かがみの中の春時雨
- 春寒くモーツァルトは死を持てり
- 蜃気楼不協和音に漁期果つ
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)