ピックアップ同人句 同人とは?
2015年12月
辛さ
岡田 由季
- 郵便の来たやうな気のして時雨
- 本物の緑の匂ふ聖樹かな
- 数へ日の舌にあとからくる辛さ
- 実家から柚子三個など持たさるる
- ちやうど良きところで除夜の鐘が鳴る
いわし雲
下田 恭子
- 遠き日の石盤石筆いわし雲
- 秋天へ校舎塔屋の急階段
- カタカナの國語讀本秋澄めり
- 教科書の部分抹消そぞろ寒
- 扁額の読みの躓き秋行かす
野紺菊
波田野 雪女
- 遍歴の剃髪の人銀木犀
- 夜なべの手休めたしかむ子の寝息
- フクシマの海へ向きたり菊人形
- かたはらに小菊活けられ菊の膳
- 主なき一輪差しよ野紺菊
十月
戸田 タツ子
- 十月の本の展示となりにけり
- 白鶺鴒離れずにゐる心地かな
- 採寸の合はなくなりし秋の風
- 玄関を開ければ釣瓶落しかな
- よく見ればきれいな黄色草の花
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)