2014年3月

愛禽抄（三）

石 寒太

• 相寄りて「んにゃん」と応ふ春の猫
• 蝋涙の人のかたちも寒さかな
• 哈爾濱（ハルピン）へひとり旅立つ霜柱
• 大年の牛舎に父のしはぶけり
• 退院の鞄へひとつ冬林檎
• 雪をんな振りむきざまの泣き黒子
• もう兎飼はないと決め妻なりし
• 和平なるかシリア内戦寒かりし