主宰句
2013年1月
賢治抄(一)
石 寒太
- 花冷えや銀河鉄道始発駅
- 北守将軍仙人になり惷銀河
- ニンゲンの脆きもろもろ青葉潮
- 内ポケット賢治のあをくるみひとつ
- 炎天へZYPRESSENのなほ黒し
- 「セロ弾きのゴーシュ」夜店の灯に売られ
- みちのくの綺羅よ賢治の霧の修羅
- 藁塚のヒトのかたちや賢治の地
- 山ぶだう賢治のことばこぼれけり
- はろばろと賢治の墓や霧の音
- 啄木に流離賢治の秋の修羅
- 光太郎の巨き栗の樹小さな実
- 「みちのくはいいね」賢治へ秋の旅
- 下ノ畑ニ賢治居りマス夕野分
- 陸沈やマコトノ草ノ種こぼれ
- ふたたびの死者に逢ふ旅秋の虹
- イギリス海岸修羅の水音秋日燦
- 冬近し賢治未完のままの宙
- みみづくの案内板や賢治の忌
- みんなみへ修羅の帰燕となりにけり