ピックアップ同人句 同人とは?
2019年6月
あを空
三井 つう
- 園児らのぴらぴら帽子青き踏む
- さざ波をさざなみと追ふ春の鯉
- 走り根の地より湧き立つ花吹雪
- 春愁のあを空どこまでも飛べさう
- 朧夜の顔のまん中鼻ひとつ
おぼろ夜
新井 青葉
- 兄妹雛の灯ともし雛のうた
- 母留守の裏山に聞く初音かな
- そと触るる「氏邦」冠する大櫻
- 花びらのやうやう透きぬ夕櫻
- おぼろ夜の新湯に手足浮かせをり
インクルージョン(百二十五)
伊与田 すみ
- あるといいなくてもいいか陽炎よ
- 三月の素直になりし誕生日
- 母と子の内にひろがる春の闇
- 三月の華厳のごとし告白す
- 柳色付く古稀という通過点
桜貝
吉田 空音
- もののふの夢の名残よ桜貝
- 土牢の闇見てもどる花海棠
- 古井戸の蓋せし闇や牡丹の芽
- さくら湯の花のひとひら唇へ
- テーラーの足踏みミシン燕来る
旦明
丸田 光洋
- 弱法師を舞ふて糸遊の浮力
- 鳥雲に入りて遠忌を忘れたり
- 人形は鬱を知りたり初蛍
- 闇飾の青に溺れし諸葛菜
- 天涯の遠きは追はず鳥渡る
刻〈6〉
辺見 みち代
- 先づ鎌倉の風に挨拶遠足す
- 受付の名簿にひらり桜花
- もしかして私しあはせ朝桜
- ひこばえや新元号の発表日
- 高気圧帝釈天の花御堂
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)