ピックアップ同人句 同人とは?
2019年3月
散紅葉
榎本 慶子
- オスプレイの空覆ふ音散紅葉
- 十二月八日八等分のピザ
- 十二月枠はみ出たる受領印
- 発掘のシャベルコツコツ帰り花
- いてふ散るナウマン象の牙ひとつ
そら耳
真中 てるよ
- いま逝きし猫の背なづる霜の朝
- 霜晴や土やはらかき猫の墓
- 木枯しの町そら耳の猫のこゑ
- 雪浅間自由に生きし猫ひとつ
- クリスマスぺたぺた貼りしセロテープ
多数決しか知らない
西川 火尖
- 息白し兄弟の耳打ちは
- 枯菊を焚く最後まで多数決
- 煤掃や喋るラジオを持ち上げて
- 殆どは白紙なれども日記果つ
- 静電気飛ぶ明けましておめでたう
初空
武山 こゆき
- 初空や鳩睦みあふひとつ枝に
- 渋滞の参道頭上初鴉
- 大仏の膝に遊ぶや初雀
- 大晦日ゆつたりあるく猫一匹
- 数へ日の仏日庵に抹茶かな
師走
鈴木 まんぼう
- ささやかな幸せ柚子湯溢れしむ
- 大年や今も何処に孤独の死
- 鍋の尻叩き師走の水切れり
- 青空へ一瞬消ゆる雪輓馬
- 寒林に入る一角獣に会ひたしよ
猫二匹
鈴木 健司
- 保護猫のために買ふ鈴雪もよひ
- ジグソーパズル所々に柿落葉
- 山眠る臨時列車の汽笛かな
- 手袋を脱ぎ馬のたてがみに触れ
- 猫摘まむやうにコートの干されをり
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)