ピックアップ同人句 同人とは?
2019年1月
糸の先
関根 誠子
- まつろはぬ糸の先舐め十三夜
- 日本大歳時記秋の候一発で開く
- 月祀る病者ときどき咳で呼び
- 組合に入ると貰へ今年米
- 冬隣菓子を贈ると菓子の来て
とるにたらぬ
大原 貴彦
- 狗尾草ひとをみつめてゐる瞳
- 罵声怒号無力真赭の薄かな
- 尾花戦ぐ撮りテツ一眼レフカメラ
- 鋼材の組みあがりゆく野の尾花
- とるにたらぬ癌の見つかり初紅葉
娘の夫が叙勲受章す。
高木 みさ女
- 亡き夫と朝露踏んで放牧す
- 露けしや予後の身体を労はりつ
- 大木に十一月の日射しかな
- 平成の秋の叙勲に受章せり
- 若き日の憶ひ出たぐる桂郎忌
冬旱
上山根 まどか
- 手に雑誌丸め運河の冬初め
- 黄落やショーウィンドウの革に熱
- 冬の蛾は只の三角児童館
- 立冬の音無き抜糸マリア像
- 霊安室と書かれし冬の旱かな
糸魚川復興酒場
北 悠休
- 身に入むや大火の火脚海へ落つ
- 復興食堂へはやばやとおでん酒
- 七福神の並ぶバス停石蕗の花
- 塩の道の廃村いくつ秋時雨
- 冬来る姫川第六発電所
柿落葉
天野 幸光
- 川風に季の移り来て冬に入る
- からからと翻る柿落葉かな
- 墨堤の散り敷く桜紅葉かな
- 駅向かふ人の装ひ冬めきぬ
- なまこ壁連なる町や初しぐれ
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)