ピックアップ同人句 同人とは?
2018年10月
蟬の陣
丹間 美智子
- 夕焼の電話ボックスからワープ
- キラキラと花眼の疲れ夏の空
- 街騒の遠く泡立つ夜の網戸
- まん中にみんみんの声蟬の陣
- 台風来防災放送まづ飛ばし
国境
一ノ木 文子
- みちのおく歩きはじめの青くるみ
- 遊行柳退るやはるかまで青田
- 鬼やんま殺生石への小さき橋
- 山繭のかろさ掌に越ゆ国境
- 白河関の安堵やつくつくし
鼓膜
片岡 宏文
- 年金貰ふクーラー点けて水飲んで
- 朝涼や祖母独学の正信偈
- 聞き分けて涼しき鼓膜シンフォニー
- すぐ行き止まる朝顔の似合ふ路地
- 二周してもう抜けられぬ盆踊
去々来々(109)
市ノ瀬 遙
- 楊桃に脇汚したる少女かな
- 錠剤の蓋に錠剤夜の秋
- 家に居れば放屁ばかりや遠き蟬
- 自販機に礼言はれたる今朝の秋
- 今朝の秋腰に手をあて首廻す
勝試合
谷村 鯛夢
- 白南風や四国に「廃校水族館」
- 万緑の東京神学大図書館
- 駅前のくだらぬ騒ぎ熱帯夜
- 老犬の飲み続けたる泉かな
- 勝試合見届けし夜の涼しさよ
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)