ピックアップ同人句 同人とは?
2016年8月
すこやかな善28-6
保屋野 浩
- 立葵なのだがまるで愚者の愛
- ほうほうほ蛍ほうほう命乞ひ
- 情熱の冷めてゐる日のあやめ草
- 子を叱る激しき我を悔ひて梅雨
- 夏風邪の傀儡は闇にうづくまり
葦毛
增田 明美
- 鉢植ゑに聚まつてゐる聖五月
- 駆け出すは生老病死時計草
- 見通しのずれ込んでゆく薄暑かな
- 蓼科の葦毛の馬にさみだるる
- 湖の底の瞳の色夕薄暑
うぶすな
こがわ けんじ
- 古里の山気偲びぬ青葉木菟
- 大瑠璃の心を過ぎる飛翔かな
- 遙かなるものを想へり瀧の裏
- 青鷺や記憶の淵を動かざり
- 白薔薇やかすかに湿る黙示録
ゼッケン
藤 幹子
- すぐ外すゼッケン縫ひて明け易し
- 蓮の下に青き屍蛸をいつも見ぬ
- 耐ゆるため神産むわれら夾竹桃
- 天体儀神はレースを編みたまふ
- ものの名をつぎつぎ忘る桐の花
プチトマト
武知 眞美
- 校門へ光集まる更衣
- 渡り来し橋は青葉のものとなる
- 六月の鳥の羽根降る安けさよ
- 片言の会話色づくプチトマト
- 噴水や大きハートのラテアート
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)