ピックアップ同人句 同人とは?
2018年12月
いまはない 30-10
保屋野 浩
- 栃の実は老いのレプリカ草匂ふ
- ポストまで野分残りの雲に風
- 秋霖やものかげ覗く万華鏡
- 東京に塔いくつある秋の丘
- 山彦は亡き人の声吾亦紅
炒飯
森戸 柚斎
- 飲んべゑも下戸も炒飯良夜かな
- ふるさとは四谷大木戸盆の月
- 銭湯の廃業跡地いわし雲
- 古書市の百円コーナー敬老日
- 星月夜テグジュペリ座す郵便機
「月の膳」
佐藤 弥生
- 月の膳母の遺せしレシピ帳
- 畦一つはさみ会話や曼珠沙華
- 鳳仙花老い得て夢を殖やしをり
- 小鳥来る手話の少女の片ゑくぼ
- 虫の夜や俳諧一詩こころ継ぐ
安達ヶ原
中西 光
- 秩父路の観音めぐり茸飯
- 鬼女棲みし安達ヶ原やくわりんの実
- 秋の蚊や国見峠の翁の句碑
- 防塁遺る伊達の大木戸真葛原
- 六角形の甲冑堂や萩の風
栗ひとつ
北原 麦秋
- 人の世を分断の風稲刈れり
- 一人づつ舞台より去り吊し柿
- 「鬱」の字の二十九画暮れの秋
- 三歳のポケットの中栗ひとつ
- もみぢ葉やかたちよきもの栞とす
不在
秋山 裕美
- 夜空にも青空のあり秋澄めり
- 長き夜や爬虫類屋の灯の青し
- 秋の昼コンクリートに散る硬貨
- 句の中の良妻賢母あかのまま
- 暮の秋約束どほり猫の消ゆ
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)