ピックアップ同人句 同人とは?
2017年7月
ベンチ
岸 ゆうこ
- 夕桜ベンチの就職情報誌
- 川の面の花筏いま渋帯中
- 富士山を容れて設計揚雲雀
- 産院やももいろ満つる春の夜
- 別れたき天のやうなる春炬燵
珈琲
藤本 る衣
- 花の夜永遠にひらかぬエレベーター
- 少年の空転五回くるみの芽
- 空箱へ入れる空箱春の鵙
- 子規の描く菓子パンの渦五月来る
- 珈琲の底を呷りぬ薔薇の昼
朔太郎の詩
神宮 安見子
- 月おぼろ尋ねたきことふたつあり
- 口ずさむ朔太郎の詩花の下
- 吊り橋の揺るる軋みや花の夕
- 飛び石に向きかへにけり花筏
- へうたん池の杭てふ杭のこる鴨
A音(54)
加藤 美代子
- 高尾山の岐路多し花うつぎ
- 行者径つかず離れずサングラス
- 甘酒飲む山頂茶屋の緋毛氈
- 母の掌の焙炉の匂ひ昭和の日
- 少年のショパンの青し新茶喫す
新緑
南 風子
- いづくより湧きし子供よタンポポよ
- 春キャベツ芯をえぐりし夕べかな
- 若布刈る舟のキラキラ潮境
- 喪へ急ぐ車窓快晴五月富士
- 新緑の三島発つとき富士へ雲
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)