ピックアップ同人句 同人とは?
2017年6月
玉抱くまで
田島 健一
- 蛇穴を出て晴れすばらしい空路
- 鳥帰る静かに花を食べ残し
- やどかりが玉抱くまでの一部始終
- 太陽が意識を譲り菠薐草
- 抱つこして煙見ている春の暮
海棠
高原 節
- 銀行の春泥すぐに掃かれたり
- 海棠の紅の蕾よ古りし家
- 囀りに和して遠くの鳩の声
- 初蝶の黄色あざやか駐車場
- 歯科医師のおだやかな声花の昼
カラカラ浴場
大鋸 颯人
- 亀鳴くやカラカラ帝の湯浴み場ぞ
- カテーテル早々終へし諸葛菜
- 春の水たつぷり噴きつ遊歩道
- 春寒やきつちり畳めぬ朝刊来
- 春の樹々馴染みの疵の七つ八つ
知夫里島
鹿島 釣人
- 四十人の島の学校シネラリア
- 島民をあげて卒業生ひとり
- いつまでもつづく民謡朧の夜
- 浜大根の花に埋もるる喜代子の碑
- 花の下のフェリー着岸知夫里島
陽炎
三橋 瑞恵
- 三月の空に息吐くストレッチ
- 弟と四股踏む大地風光る
- 陽炎の中へ消へゆくランドセル
- リボン解く弥生の風や誕生日
- 啓蟄や新宿駅の献血車
同人とは?
炎環の同人は、一般会員の中から、石寒太主宰がその実力を認めて推挙した作家たちです。同人になるとは作家として独り立ちすることを意味し、したがって同人の作品は、主宰の選(順位づけ)や添削の対象から外れます。同人は、自らの力だけを頼みに毎月5句を発表しています。
このページでは、同人の中から6人ずつを順繰りにピックアップし、その当月発表した作品を紹介します。(一般会員についてはこちら)