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炎環の俳句

2014年度 炎環四賞

第十九回「炎環新人賞」記念作品

深山 きんぎょ

交叉点

死に向かって生きる

今年の春、顎下腺の手術で入院をしました。今まで病院に縁のなかった私にとっては、青天の霹靂でした。退院後の受診の折、廊下で待っていると、いろいろな人が前を通って行きます。年齢・性別・職業・恐らくは暮し振りも多様な人々。退院する人もいれば、入院する人もいる。ふと、病院は人生の交 叉点かもしれない、と思いました。

堀辰雄は、自分の病んでいる結核のことを「私の胸にとまった小鳥」と表現しています。どのような思いなのか、胸中はよく分からないが、病(死)をもそのまま受け入れる、辰雄の優しさ、強さを感じます。

今回の入院で、人は死に向って生きている、ということを、少しだけ実感しました。六十過ぎて巡りあった俳句。日々の生活の中で、大切に続けていきたいと思います。

此度思いがけず、新人賞を頂きました。これから頑張りなさいと、エールを下さったものと感謝しております。有難うございました。